理学療法士を30代から目指すことはできる?
理学療法士に30代からなってやっていける?
理学療法士を30代で目指すリスクがあるなら教えて!
このような悩みを解決します。
理学療法士は医療系専門職です。
その魅力に、社会人になってから気づく方も多く、30代どころか50代から目指す方もいることでしょう。
ですが、本当に30代という年齢から理学療法士を目指してもいいのか気になりますよね。
本記事では、30代から理学療法士になる方法や注意点を解説します。
理学療法士は30代からでもなれる?社会人が理学療法士になるまでの流れを解説
結論からいうと、理学療法士に30代からなることは可能です。
理学療法士は、養成校に通って国家試験に合格すればなれる職業。
年齢制限はないので、基本的には何歳からでも理学療法士になれます。
30代から理学療法士になるための具体的な流れは下記の通り。
- 養成校(専門学校・短大・大学など)に入学
- 勉強する(2~4年間)
- 実習を受ける
- 国家試験に合格する
- 就職する
まずは、理学療法士の養成校に通うところから始まります。
養成校の種類としては
- 専門学校(3年制)
- 短大(3年制)
- 大学(4年制)
などがあります。
30代からであっても、最短3年で理学療法士免許の取得が可能。
ただし、作業療法士免許を持っている方に関しては、2年で理学療法士免許を取得できます。
養成校へ無事に入学できたら、勉強と実習に励みましょう。
単位を取得して、卒業が当面の目標になります。
ちなみに、学校によっては夜間学部を設けているところもあるので、社会人でも働きながら学習できます。
それがクリアできると、ようやく理学療法士の国家試験です。
理学療法士試験の合格率はこちら。
第51回 | 第52回 | 第53回 | 第54回 | 第55回 | 第56回 | |
---|---|---|---|---|---|---|
受験者数 | 12,515人 | 13,719人 | 12,148人 | 12,605人 | 12,283人 | 11,946人 |
合格率 | 74.1% | 90.3% | 81.4% | 85.8% | 86.4% | 79.0% |
どの年も8割近い方が理学療法士試験に合格しています。
試験内容は暗記すればよいものが多いので、社会人経験がある方ならば難しくありません。
国家試験をパスして理学療法士免許を取得したら、いよいよ就職という流れです。
30代から理学療法士になるための学校の選び方
理学療法士に30代でなるためには、学校選びが重要です。
理学療法士になるための学校は、大きく3つあります。
3年制の専門学校
1つ目は、3年制の専門学校に入学することです。
3年間、理学療法士の勉強だけに集中して免許取得を目指します。
30代から目指す方の多くは、3年制の専門学校に通うことが多い様子。
専門学校には3年制と4年制がありますが、違いは得られる資格の名称と価値です。
専門学校 | 得られる資格 |
---|---|
3年制 | 専門士 |
4年制 | 高度専門士 |
上記のように資格の名称と価値が異なります。
高度専門士は大卒と同じ扱いですので、給料も高めです。
すぐに理学療法士になりたい方は3年制の専門学校、長く通ってじっくり学び、高度専門士資格が欲しい方は4年制を選びましょう。
3年制は夜間学部もあるので、仕事と両立しながら通えることが魅力です。
3年制の短期大学
2つ目の方法は、3年制の短期大学に通う方法です。
3年制専門学校と短大の違いは、短大の方は専門知識だけでなく、一般教養まで幅広く学べる点。
専門学校は、主に言語聴覚士の国家試験に必要な科目だけを集中して学びます。
30代から理学療法士を目指すとなると、短大に行くメリットは正直あまりありません。
すでに社会人経験があれば、専門学校の方が集中的に学べるでしょう。
4年制の大学・専門学校
3つ目の方法は、大学か専門学校に通うことです。
大学に通うことを選ぶと、最終的には学士号が得られます。
理学療法士免許とともに、大卒資格を得られるという意味ですね。
時間とお金に余裕がある方は、学士号が取得できる大学か、高度専門士が取得できる4年制の専門学校がいいでしょう。
就職した際、大卒と高度専門士取得者は、給料が高く設定されているというメリットがあります。
30代から理学療法士を目指すことにはリスクもある
理学療法士を30代から目指すことにはリスクもあります。
本気で目指すなら、下記の2つを頭に入れておきましょう。
30代で理学療法士の資格を取ることは可能ですが、どのようなリスクがついてくるのでしょうか。
就職は簡単ではないこともある
理学療法士を30代から目指すリスクの1つ目は、就職は簡単ではない点です。
学校や国家試験に年齢制限はないため、理学療法士には、30代どころか40代・50代と、何歳からでもなれます。
ですが、就職では年齢が重視されるので、30代で理学療法士になった人にとっては、特に理学療法士として就職先を見つけるのは簡単ではないでしょう。
企業からすれば、30代の新人よりも、20代の新卒をとったほうがメリットが大きいです。
つまり、30代で頑張って理学療法士免許を手に入れたとしても、就職までスムーズにいくとは限りません。
とはいえ、就職先をえり好みしすぎなければ問題にはならないはず。
理学療法士の就職先は、病院以外にもたくさんあります。
実際に、理学療法士が飽和しているとされるのは、病院が人気すぎることも要因の1つと思われます。
給料が安い
理学療法士を30代から目指すリスクの2つ目は、給料が安いということです。
30代から頑張って理学療法士になっても、給料は安いし上がりません。
下記の画像は、理学療法士(369万円)の平均年収(2024年2月確認時点)です。
2021年9月に国税庁が発表した「令和2年分 民間給与実態調査統計」によれば、現在の日本人の平均年収は約430万円なので、大きく下回っています。
住んでいる場所や年齢によって差はあるので一概には言えませんが、平均年収だけをみれば、理学療法士の給料は低いと言えます。
給料が低い理由は、診療報酬制度の影響です。
その上、理学療法士の給料は安いだけでなく、上がりません。
詳細は理学療法士と作業療法士の給料が安い5つの理由【給料を上げる方法は?】でまとめています。
昇給も昇進も期待しないほうがよいでしょう。
頑張って理学療法士になっても、思うような給料はもらえないと思ってください。
理学療法士として給料を増やすなら、転職を重ねるか、副業をするしかありません。
理学療法士として年収をアップする方法は下記にまとめています。
理学療法士に30代でなると大変なこと3つ
理学療法士を30代から目指すことは容易ではありません。
目指す前に、下記の3つを頭に入れておきましょう。
学費の負担
学費は学校によって異なります。
学校の種類 | 学費 |
---|---|
専門学校(3年制) | 年間約115万円~170万円 |
短期大学(3年制) | 年間約100万円~180万円 |
専門学校(4年制) | 年間約100万円~175万円 |
大学(4年制) | 年間約60万円~200万円 |
公立と私立によってかなり幅があります。
自宅から通えるかも問題ですので、学校選びは慎重にしましょう。
仕事・家庭との両立
30代から理学療法士を目指すなら、仕事や家庭との両立が難しくなります。
お子さんがいればなおのことでしょう。
配偶者がいるなら、学費がどのくらいなのか、仕事への影響は出ないのか、子供の育児や費用はどう賄うのか相談すべきです。
学生だらけの環境で学ぶ
理学療法士を目指す人は、10代の若者がほとんどです。
つまり、学校では若者に交じって学ぶことになります。
やりにくい空気になることも考えられるので、精神的な負担も考えておきましょう。
夜間学部は社会人が多いので、夜間に絞って学校を探す手もおすすめです。
理学療法士は30代から目指しても将来性がある職種
理学療法士の将来性はあります。
30代から理学療法士になったとしても、十分やっていけるでしょう。
理学療法士の将来性がある理由は、日本はこれから超高齢社会に入っていくからです。
つまり、需要はあるんですね。
ですが、増えすぎたせいで、給料が安くなる点は否めません。
診療報酬の関係で、どうしても一人当たりの給料は安くなります。
また、これからは、本当に優秀な理学療法士しか生き残れない時代に入ります。
30代で理学療法士になったとしても、さらに努力しないとやっていけないリスクがあるのです。
だからこそ、安易な気持ちで理学療法士を目指すのではなく、真剣に考えることをおすすめします。
年収アップで理学療法士を目指すなら、一般企業への転職の方が低リスクで収入をあげられるでしょう。
まとめ:理学療法士は30代からでもなれるが、よく考えて
理学療法士は30代からでも目指せる職種です。
しかし、なった後のことを考えて決断してください。
なぜなら、理学療法士免許を持っていても、就職できるとは限らないから。
もし、20代の新人が同じ求人に応募していたら、ほとんどの場合では採用してもらえません。
「理学療法士は給料がよさそう」
「理学療法士は安定してそう」
などの理由で安直に考えているなら、よく考えることをおすすめします。
収入を増やしたくて理学療法士を目指しているなら、転職のほうが安全かつ合理的です。
転職には費用もかかりませんからね。
理学療法士の養成校は年間50万円~120万円程度はかかります。
しかも、理学療法士の給料は、1年目では300万円代であることがほとんどです。
収入が目的なら、低リスクで収入を増やせる一般職への転職がいいでしょう。