作業療法士に将来性がないって本当なの?転職したほうがいい?
作業療法士は飽和してるの?目指さないほうがいい?
安定して働けるOTになる方法が知りたい!
このような悩みを解決します。
今回は、「作業療法士には将来性がない」というテーマに関して、回復期病院の元人事が解説します。
本記事を読めば、作業療法士の将来性や飽和の事実がわかり、OTが安定して働き続けるためにすべきことがはっきりするでしょう。
作業療法士に将来性はない?元人事が根拠を持って否定します
リハビリ職の主戦場である回復期病院で、2021年3月まで採用をしていた筆者からいわせてもらえば、作業療法士の将来性がないなんて微塵も思えません。
なぜなら、OTが飽和しているといわれる病院でさえ、作業療法士が足りなくて採用に苦戦していたためです。
一般的にOTが不足しているといわれているのは、精神病院や介護施設などですよね。
回復期病院は人気すぎて就職できないなんて情報もあるようですが、筆者が勤務していいた200床の回復期病院では、毎年OT・STが足らなくて悩んでいましたよ。
理学療法士はすぐに採用枠が埋まるのに、OTとSTは毎年のように人数が足らず、中途募集は1年中行っていたほどです。
それでも足りなかったのに、どうして作業療法士は将来性がないといえるのかわかりません。
さすがに、十年以上先の話はわかりませんけどね。
また、高齢者率は上がり続けることがわかっていることも「OTは将来性がない」説を否定する根拠ですね。
以下は内閣府資料の引用ですが、総人口に対する高齢者率は、2065年まで上がり続けることがわかっています。
高齢者数は2016年前後がピークですが、人口に対する高齢者の割合は増加し続けるので、OTの需要がなくなるわけがないです。
OTの需要に関する根拠は、作業療法士の就職は厳しい?OT需要は今後高まる一方ですで、より詳しくまとめています。
以上が元人事としての現場を踏まえた意見です。
2.作業療法士には将来性がないといわれる4つの理由
前章で、作業療法士の将来性がないというのは、データを根拠に否定されましたが、どうして「OTはやめとけ」なんて言われているのでしょうか?
本章では、作業療法士には将来性がないといわれている理由を4つご紹介します。
1つずつ解説します。
作業療法士の数が飽和しそうだから
作業療法士には将来性がないといわれている理由の1つ目は、OTが飽和しそうだからです。
前章で解説した通り、OTはすでに供給>需要となっており、作業療法士はたしかに飽和しているといえます。
しかし、OTの活躍の場は増えるので、需要も増すという予測を内閣府がしていましたね。
つまり、作業療法士の将来性がないという根拠が「飽和しているから」のみだとしたら、否定されるということです。
見事に「OTは飽和している」という部分だけを切り取られ、「需要は将来的に増える」という部分をカットされていますからね。
精神病院や介護施設などは、現時点でも常に人手不足なので、需要がある環境を選べばいいだけです。
給料が安いから
作業療法士には将来性がないといわれている理由の2つ目は、OTの給料が安くなっているからです。
作業療法士の平均年収は、2024年3月時点で357万円となっています。
2023年9月に国税庁が発表した「令和4年分 民間給与実態調査統計」によれば、現在の日本人の平均年収は約458万円です。
OTの平均年収が、100万円近く下回っていることがわかります。
ちなみに、作業療法士だけでなく、理学療法士(359万円)と言語聴覚士(350万円)に関しても平均年収が少ない傾向にあります。
たしかに、現役のリハビリ職は30代でも年収500万円いく人は少なかったです。
問題なのは、給料の安さに対してOTの業務量が多すぎるということです。
業務量が少なくて給料が安いなら理解できますよね。バイトと同じですし。
しかし、OTの場合は、業務量がどんどん増えるにもかかわらず給料が安いのです。
そのため、作業療法士の給料は安いからやめとけといわれています。
OTが給料を増やすためにできることは、理学療法士と作業療法士の給料が安い5つの理由【給料を上げる方法は?】で詳しくまとめたので、ご覧ください。
昇給・昇進がほとんどないから
作業療法士には将来性がないといわれている理由の3つ目は、昇給・昇進がほとんどないからです。
OTの給料が安いという話はご存じのとおりですが、なんと昇給・昇進もほぼありません。
昇給がほとんどないということは、採用時の契約通りの年収で、今後も働くということです。
月給25万円で契約したとしたら、来年も再来年も月給25万円程度しかもらえないので、一般職との収入格差がどんどん広がります。
初任給が高い理由はこれです。昇給させないから、初任給を高くして釣っているんですよ。
昇給・昇進がほとんどない理由は、リハビリ職が完全年功序列制だからです。
上から順に役職に就くのですが、
- 部長:1名
- 主任:PT/OT/STで1名ずつ
- その他:数名
といった感じではないでしょうか?
役職が少ないのに、人数だけはどんどん増えていくので、役職につきたくてもつけないのです。
昇給に関しては、理学療法士と作業療法士の給料が安い5つの理由【給料を上げる方法は?】で詳しくまとめていますが、診療報酬や経営上の理由でほとんどありません。
新人だと「来年は1万円くらいあがってるかな?」とルンルンするかもしれませんが、1000円上がればいいと思っていてください。
給料が少なすぎて結婚に不安があるOTは結構いますよ。
OTの結婚事情は、病院人事が作業療法士は結婚できないを完全否定【仕事と両立できます】でまとめています。
結婚に不安がある方は安心できるでしょう。
働きにくい職場だから
作業療法士には将来性がないといわれている理由の4つ目は、働きにくい職場だからです。
働きにくい職場といえる理由は、
- サービス残業が多いから
- 休日は学会や研究会があるから
- パワハラ気質なところがあるから
- 休みがとりにくいから
- 実習生の面倒を見なきゃだから
などです。
しかも、給料は安くて昇給もほとんどないので、まともに頑張れる環境ではないんですよね。
詳細は、【閲覧注意】作業療法士はやめとけと言われる理由|現役OTの見解は?でまとめています。
人事からみても、リハビリ職の働き方はきつそうです。
リハビリ職に向いていないと思ったら、すぐに辞めたほうがいいと思います。
そうしないと心身を守れないためです。
OTが辛くて悩んでいる方は、自分が楽になるための手段として、転職をご検討ください。
作業療法士を1年目で辞めたい…やめたほうがいい理由を人事が解説で書いていますが、1年目は行動を早くしないと損をするので、OTが向いていないと思ったら即行動がおすすめです。
また、作業療法士を辞めるタイミングについては下記の記事で解説しています。
今が辞めるチャンスかもしれませんよ。
【実情】作業療法士に将来性はないの?OTが飽和しているとは?
前々章では、回復期病院の人事として「作業療法士に将来性がないとは思えない」という意見を、現場情報をもとにお伝えしました。
この章では、実際のところOTの将来性はどうなのか、データを根拠に見ていきたいと思います。
厚生労働省が報告した「理学療法士・作業療法士の需給推計の結果」によると、作業療法士と理学療法士の供給数は、2019年時点で需要数を上まわっています。
しかも2040年頃には、供給数が拡大して需要数の約1.5倍になるのではいかと予測されていました。(2019年版が2022年1月時点で最新)。
つまり、作業療法士は現時点で飽和しており、飽和はますます加速するという意見に関しては、正しいといえます。
それではやはり、OTの将来性はないのかというと、そうでもないようです。
厚生労働省は、上記のようにPTとOTの需要が変化していくと推測しています。
つまり、理学療法士と作業療法士の活躍の場が変わるだけなので、将来性はあるといえるでしょう。
というわけで、本章の結論をまとめると、
- 作業療法士が飽和しているというのは事実
- 作業療法士の飽和はまだまだ続く
- OTの増加とともに需要も増えるため、OTの将来性がないとは言えない
ということですね。
作業療法士の将来性がないというのは、データを根拠に否定します。
作業療法士には将来性がないはずがない!将来も求められるOTになる方法3選
ここでは、ますます増えていく作業療法士の中で、競争に勝ち残るOTになる方法を紹介します。
勝ち残るOTとは、「どんな環境活躍できて、社会から求められ続ける作業療法士」と定義しますね。
超高齢化社会に備えてOTが増えている中で、どうすれば社会から求められる作業療法士になれるのかというと、方法は以下の3つです。
1つずつ解説しますね。
専門性を高める
飽和する作業療法士の中で、競争に勝ち残るOTになる方法の1つ目は、専門性を高めることです。
なぜなら、「これだけは負けない」という専門分野をもったOTは需要が強いから。
例えば、
- 認知症研究
- 高次機能障害
- 福祉用具
など、作業療法士が関わる分野において、何か1つに特化すれば専門性を高めることができます。
そのためには、症例発表や研究など、OTのリハビリ業務以外にも力を入れることです。
病院だけでなく、デイケアや訪問リハビリなど、複数の施設で働いて経験を積むのもいいですね。
なぜなら、複数の施設・部署で働けば、それぞれ違った知識・スキルを身につけられるから。
多様な経験をしてから、1つの分野に絞って特化すれば、あなたに向いている分野で挑戦できるでしょう。
一般職を経験する
飽和する作業療法士の中で、競争に勝ち残るOTになる方法の2つ目は、一般職を経験することです。
なぜなら、一般職経験があるOTは少なく、希少価値がつくから。
一般職もできるリハビリ職はマルチに活躍できるので、ぜひともほしい人材なのです。
リハビリ職(PT/OT/ST)になるのは、新卒で入社する人が多いですよね。
ということは、リハビリ職経験しかないということであり、一般職ならできることができないということです。
一般職がするような業務とは、
- 名刺交換
- 提案書作成
- 電話対応
- 企画
- 営業
などを指します。
リハビリ職は新人研修で名刺交換程度ならしますが、電話対応や提案書作成はほとんどしませんよね。
その結果、リハビリしかできない人材となり、どこにでもいるOTとして扱われます。
しかし、一般職が1年程度でもあるOTならばこなせる業務が多いので、「デキル作業療法士」として見られるのです。
一般職経験がある作業療法士(リハビリ職)には、通常よりも好待遇で採用条件を提示していました。
ちなみに、作業療法士から一般企業への転職がおすすめな4つの理由を人事が解説で解説していますが、OTは転職に強く、転職失敗リスクも低いです。
積極的に挑戦できる環境が整っているので、使わない手はないですね。
作業療法士の転職に強いサービスは、リハビリ職におすすめ転職エージェント・サイト5選!32社から人事目線で比較でまとめています。
副業でスキルを身につける
飽和する作業療法士の中で、競争に勝ち残るOTになる方法の3つ目は、副業でスキルを身につけることです。
なぜなら、副業スキルは本業(OT)でも活きて、相乗効果を生むから。
OTとして得た専門知識を活かして副業し、副業で得たスキルをOT業務に活かすことができます。
副収入として年収もアップするので、一石二鳥ですね。
一般職経験がある作業療法士は優遇されるように、副業で得たスキルを使えるOTも優遇されます。
「副収入はほしいし、将来へのリスクヘッジもしたいけど、転職は難しいなぁ…」という方には、副業が向いているでしょう。
なぜなら、副業は環境を変える必要も、事前投資する必要もないから。
休日とPCさえあればできるので気軽に始められるし、合わなければすぐに辞められることがメ副業のメリットです。
OTの資格を活かせる副業は、作業療法士におすすめの副業9選!注意点やメリット・デメリットも解説でまとめました。
まとめ|作業療法士に将来性がないのは嘘!行動しなければ危険かも
作業療法士に将来性がないというのは嘘ですが、何の対策もしなければ職を失うかもしれません。
時代に合わせて生き残れるように、今のうちから対策しておく必要があるでしょう。
最後に、本記事の内容をまとめます。
- 作業療法士が飽和しているというのは事実
- 作業療法士の飽和はまだまだ続く
- OTの増加とともに需要も増えるため、OTの将来性がないとは言えない
つまり、理学療法士と作業療法士の活躍の場が変わるだけなので、将来性はあるといえるでしょう。
作業療法士には将来性がないといわれている理由は以下の通りでした。
- 作業療法士の数が増えすぎているから
- 給料が安いから
- 昇給・昇進がほとんどないから
- 働きにくい職場だから
ますます飽和いく作業療法士の中で、競争に勝ち残るOTになる方法は以下の3つ。
- 作業療法士として専門性を高める
- 一般職を経験する
- 副業でスキルを身につける
転職するなら、転職エージェントを活用しましょう。
転職のプロがあなたに合った求人を探してくれるので、スムーズに転職できるためです。
今回は以上です。