言語聴覚士(ST)の給料が安い理由はなんで?
STを目指しているけど不安になってきた…生活はきつくない?
言語聴覚士はやめとけって言われる理由も知りたい!
このような悩みを解決します。
- 言語聴覚士の給料が安い5つの理由
- 言語聴覚士の平均給与はどのくらい?【PT/OTと比較】
- 言語聴覚士が給料を上げる方法は3つ
- 「言語聴覚士はやめとけ」と言われる理由
今回は、言語聴覚士(ST)の給料が安い理由をまとめました。
最後まで読めば、STの現状と将来性がわかり、なぜ「やめとけ」といわれているのかはっきりするでしょう。
言語聴覚士の給料が安い5つの理由
言語聴覚士の給料が安い理由は以下の5つです。
個人ではどうしようもないのですが、上記のような理由でSTの給料は安いです。
1つずつ解説していきます。
診療報酬制度で稼げないようになっているから
言語聴覚士(ST)の給料が安い理由の1つ目は、診療報酬制度で稼げないようになっているからです。
ピンとこないと思うので、例を出しますね。
医師の場合は、「切ったら〇点」「縫ったら〇点」というように、処置の種類と頻度によって診療報酬で決められた点数が加算されていきます。
つまり、医師は腕が良ければ回転数が上がり、より大きな額を稼げるということです。
一方のリハビリ職はというと、処置数ではなく時間で計算される仕組みになっています。
リハビリは1単位20分で、1時間当たり3単位しかとれませんよね。
つまり、どれだけ腕が良くても1時間で稼げる金額は決まっており、収益性が低いということです。
イメージするなら、
- 医師→一人当たり3000円の収益→10人くれば1時間で3万円稼げる(歩合制)
- ST→時給1000円のバイト→100人来ても1時間で1000円しか稼げない(時給制)
といった感じです。
言語聴覚士は小さな収益しかもたらせないので、病院(施設)にもたらす収益も少なく、STの給料も安くなっています。
経営上の問題
言語聴覚士(ST)の給料が安い理由の2つ目は、経営上の問題です。
上で、STが稼げる金額は診療報酬によって決まり、現行の診療報酬制ではリハビリ職が稼げる金額は少ないことをお伝えしました。
つまり、病院からすると、リハビリは「必要だけど稼げない」分野といえます。
リハビリは社会的存在意義が大きいのですが、経営の観点からすると採算がとれない分野なのです。
採算がとれていない以上、給料だけをいたずらに高くすることはできなくて当然でしょう。
夜勤ができないから
言語聴覚士(ST)の給料が安い理由の3つ目は、夜勤ができないからです。
看護師は夜勤で稼ぐイメージが強いと思います。
実際に、筆者が務めている病院で夜勤をしている看護師は、夜勤だけで年収が100万円以上あがっているそうです。
しかし、リハビリ職(PT/OT/ST)はというと、夜勤することはできません。
それどころか、残業することも難しくなっています。
STの人数が多いから
言語聴覚士(ST)の給料が安い理由の4つ目は、STの人数が多いからです。
ここでいう人数とは、日本の医療費財源に対して多すぎるということであり、患者に対して多いというわけではありません。
「高齢者が増えてるからSTの数は増やすけど、予算的に財源は減らさなきゃだから一人当たりの給料は下げるよ?」ということです。
財源そのものが減らされているのに、言語聴覚士(理学療法士・作業療法士も)の人数が増えてしまっては、一人当たりの報酬を減らすしかないです。
仕事は増えているのに給料を減らされることが、今後も予想されています。
昇給・昇進がほとんどないから
言語聴覚士(ST)の給料が安い理由の5つ目は、昇給・昇進がほとんどないからです。
なぜなら、人数が多すぎて役職待ちが渋滞しており、ポストに就かせたくてもつけないから。
昇給に関しては、稼げないリハビリ職の給料を上げることが難しいことは、想像に難くないでしょう。
稼げていないのに給料を上げると、経営にダメージがでて倒産しかねないですよね。
言語聴覚士に限らず、理学療法士・作業療法士といったリハビリ職は昇給も昇進もほとんどありません。
PT/OTの事情はどうなの?と思った方は、理学療法士と作業療法士の給料が安い5つの理由【給料を上げる方法は?】をご覧ください。
リハビリ職の実態が、より深くわかります。
言語聴覚士の平均給与はPT/OTより少ない
この章では、言語聴覚士と理学療法士・作業療法士の給料を比較してみましょう。
下記の画像は、言語聴覚士(364万円)と理学療法士(367万円)、作業療法士(357万円)の平均年収です。(※2024年6月確認時点)
STは、PT/OTよりも平均年収が少ないことがわかります。
*言語聴覚士の平均年収。
*理学療法士の平均年収
*作業療法士の平均年収。
2021年9月に国税庁が発表した「令和2年分 民間給与実態調査統計」によれば、現在の日本人の平均年収は約430万円だそうです。
つまり、リハビリ職すべてが、日本の平均給与を大きく下回っていることがわかります。
原因は複数考えられますが、一般職とリハビリ職との給与差は昇給・昇進のなさが最大の要因でしょう。
一般職なら10年勤めれば2回程度は昇進しますからね。
次の章では、言語聴覚士が給料を上げるためにはどうすればいいのかお話しします。
言語聴覚士が給料を上げる2つの方法
言語聴覚士が給料を上げるためには、3つの方法があります。
副業するか、転職することで給料は上がりますよ。
詳しく見ていきましょう。
副業する
言語聴覚士が給料を上げる方法の1つ目は、副業することです。
収入に不満はあるけど、転職はちょっとなぁ…という方に最適な選択でしょう。
STが副業をやるメリットは、ST以外のスキルが身につくことです。
例えばライティングをやれば文章作成スキルが身につきますし、STの知見を活かして講師をすればスピーキングスキルがアップします。
副収入も入ってスキルが身につくので、副業は一石二鳥ですね。
STに向いている副業や始め方の詳細は、言語聴覚士におすすめの副業10選!【ST資格を活かす&在宅副業】でまとめています。
出来高制の職場に転職する
言語聴覚士が給料を上げる方法の2つ目は、出来高制の職場に転職することです。
具体的には、訪問リハビリ(看護)やセラピストですね。
以下は株式会社リニエLからの求人抜粋ですが、以下のような職場が出来高制を採用しています。
給料は冗談抜きで高いです。
上の求人でいえば、普段こなしている業務に移動が加わるだけで、月給が10万円ほど高くなる人も多いのではないでしょうか。
給料が上がるだけでなく、人間関係もリセットできるので、出来高制の職場に転職する人は結構多いです。
求人を探すなら、リハビリ職に特化した転職エージェントを使いましょう。
なぜなら、特化しているだけあって優良な求人が豊富だからです。
サービスごとに独占案件も違うので、多く使えば使うほど有利に進められますよ。
一般職に転職する
言語聴覚士が給料を上げる方法の3つ目は、一般職に転職することです。
なぜなら、一般職を経験しておけば、将来的な仕事の選択肢が増えるから。
医療系専門職は一般職がするような業務をこなせない人がほとんどですよね。
だからこそ、リハビリ職以外も経験しているSTの人材価値は高いです。
また意外と知られていませんが、言語聴覚士は「リハ職→リハ職」と「一般職→リハ職」というように転職しやすいメリットもあります。
仮に転職失敗したとしても、復職は難しくないので安心してチャレンジできますよ。
人間関係が嫌だったり、給料に不満があったりするなら、一般職に転職することでどちらも解決することができるでしょう。
「言語聴覚士はやめとけ」と言われる納得の理由
「言語聴覚士はやめとけ」と、一部の人いわれていることはご存じでしょうか?
理由は以下の5つです。
- 給料が安いから
- 仕事量が多いから
- サービス残業が多いから
- 学会や研修は「自己研鑽」扱いだから
- 休みにくいから
「①給料が安いから」については、本記事でお伝えした通りです。
②~⑤については、給料が安いことに加えて業務内容がきつく、待遇が悪いということを意味しています。
実際の現場を見ている人事目線からいわせてもらうと、これらはすべて事実です。
一般職の平均年収(430万円)より、STの平均年収(350万円)は80万円も安いのに、業務は多いし人間関係で疲れる人は後を絶ちません。
あくまでも病院勤務の人事目線ではありますが、、「言語聴覚士はやめとけ」に賛同せざるを得ないと感じているのは事実です。
誤解してほしくないのですが、「言語聴覚士は目指すな、やめておいたほうがいい」と言いたいわけではありませんよ。
明確な理由もなくSTになると、給料の安さと仕事のつらさに耐えられないだろうから、よく考えてほしいのです。
実際に、現役のSTには、やりがいをもって働いている方もいらっしゃいます。
本当にSTとして働きたいから、「言語聴覚士はやめとけ」なんて意に介さないのです。
医療系国家資格だから~とか、安定しているから~とか、生半可な気持ちで目指すことはやめたほうがよいでしょう。
ちなみに、言語聴覚士と似た理由で、PTとOTも「やめとけ」と言われています。
詳しい背景が知りたい方は、【閲覧注意】作業療法士はやめとけと言われる理由|現役OTの見解は?をご覧ください。
まとめ:言語聴覚士の給料は低いが将来性はある
なぜなら、少子高齢化で高齢者の数は増え続けるから。
しかし、診療報酬によって、給料はさらに下がり続けることが予測されています。
給料に不満があったり、これじゃ生活できないという方は転職か副業を始めることがおすすめです。
最後に、本記事の内容をまとめます。
言語聴覚士の給料が安い理由は以下の5つです。
2021年12月時点のリハビリ職平均年収は、言語聴覚士(350万円)と理学療法士(359万円)、作業療法士(352万円)でした。
言語聴覚士が給料を上げるためには、以下3つの方法があります。
「転職してみようかな…でも不安だし…」と悩んでいる方は、副業から始めてみてはいかがでしょうか?
STの資格を活かせる&完全在宅の副業は、言語聴覚士におすすめの副業10選!【ST資格を活かす&在宅副業】でまとめています。
確実に収入を上げたい!という方には、副業よりも転職が向いていますよ。
リハビリ職専門の転職エージェントを使えば、働きながらでもスムーズに転職できるのでご安心ください。
今回は以上です。