「作業療法士(OT)はやめとけ」といわれる理由は?デメリットがあるの?
これから作業療法士を目指す人は辞めておいたほうがいいの?
このような悩みを解決します。
この記事を書いた私は、200床の回復期病院で人事や総務・企画などの業務をしていました
当サイトの記事は、未だに繋がりがある複数の現役PT/OT/STの声をもとに執筆しています。
現場の声が聴きたい方や、リハビリ職の最前線が知りたい方におすすめです。
また、マイナビニュース転職の監修実績もあるので、信頼性はご安心ください。
作業療法士を目指している人はタイトルで不安になったかもしれませんが、「目指すな、やめろ」と言いたいわけではありません。
病院で人事をしている私からすると、給料と業務内容が釣り合っていないからやめておいたほうがいいかもよ?ということです。
給料に関しては本当に安いよ・・・
今回は、「作業療法士はやめとけ」といわれる理由を丸裸にする内容となっています。
この記事を読めば、作業療法士はやめとけといわれている理由と将来性がわかり、不安が解消されるでしょう。
「作業療法士(OT)はやめとけ」といわれる11の理由
早速、作業療法士はやめとけと言われる理由を11個解説します。
私は人事なので転職・退職するきっかけを聞きますが、以下はそれらをまとめたものです。
多いので流し読みしてください!
1-1.仕事量が多いから
作業療法士の仕事は、以前と比べてかなり増えています。
患者さんのリハをはじめ、入浴補助や家屋調査といった仕事が主な業務内容ですが、カルテに記入したり、備品をチェックしたりする細かな作業がとにかく多いのです。
昼休み返上でカルテに記入する人や、備品買い出しに行く人もいます。
「えぇ、思ってたのと違う」 1年目で辞める新卒さんたちは口をそろえて話します。
全部仕事だと割り切れれば、業務内容そのものは難しくないです。
1-2.給料が安いから
「リハビリ職は給料が安い」 という事実を知っているのは、医療業界の人間だけかもしれません。
求人を検索すると、年収400万円に届かない募集ばかりです。
確かに、一昔前までは年収600万円以上の人も多かったですが、今では部長にでもならないと夢のまた夢。
それでは、実際の求人を元に平均年収を見ていきましょう
下記の画像は、求人ボックスが算出した、理学療法士(369万円)と作業療法士(359万円)、言語聴覚士(364万円)の2024年3月確認時点での平均年収です。
2023年9月に国税庁が発表した「令和4年分 民間給与実態調査統計」によれば、現在の日本人の平均年収は約458万円なので、大きく下回っていますね。
理学療法士の平均年収
作業療法士の平均年収
言語聴覚士の平均年収
リハビリ職って稼げるのかと思ってた。
「給料<安定」の人にはおすすめできる職業ですね…
作業療法士の給料は安いです。
しかも、昇給や昇進が少ないうえに、今後はもっと減らされるリスクすらあります。
理由は下記の記事で解説しているので、気になる方は参考にどうぞ。
1-3.昇給・昇進がほとんどないから
詳しいことはいえませんが、昇給は3000~7000円程度、昇進は勤続10年~と思ってください。
リアルな数字を出しましたが、地方回復期病院ではこんな感じです。
無遅刻・無欠席で頑張っても、まっっっったくといっていいほど恩恵がありません。
昇進意欲の低い人が最後まで残り、そのまま主任や部長になったという場合がほとんどです。
「もっと稼ぎたい」 「早く昇進したい」 という人には向いていないでしょう。
1-4.サービス残業が多いから
- カルテ記入
- 症例発表
- 打ち合わせ
- ミーティング
上記のようなことを、なぜか勤務時間外にします。
ぶ、ブラックでは?
働き方改革の時代に逆行してるのがリハビリ職だよ・・・
リハビリ職は「奉仕の精神」が根本にあるので、1~2時間のサービス残業は普通にあると思ってください。
理由を確認したところ、慣習だから続けているという回答を得ました。
健康経営を国が推進している時代に逆行した考えを持ち続けています。
正直にいって、効率化重視の若い世代とは全く考え方が違う職種です。
1-5.学会や研修は「自己研鑽」扱いだから
1年目、2年目の新人さんは月1の頻度で学会に行かされると思ってください。
これがマジだからね・・・
実際にはそんなにいかないかもしれませんが、職場の「慣習」とやらでこのような悲劇が待っています。
あくまでも自己研鑽なので、交通費や参加費は自腹です。
1-6.休みにくいから
理学療法士・作業療法士などのリハ職は、患者さんごとに担当が決まっています。
1日どころか半日休むだけで「申し送り」を作成しなければならず、他の人に迷惑がかかるので休みにくいです。
「申し送り」とは、他のスタッフにリハの依頼する文書のことで、患者さんごとにしてほしいリハやこれまでしてきたことをまとめたものです。
「カルテ見ればよくね?」
と思ったので部長に確認したところ、「慣習なんです」とのことでした。
直接聞いた方がよいかもしれませんが、メモで済むならメモだけでよくないですかね?
リハ職に改善を求めるのは至難の業です。
1-7.プレッシャーが大きいから
作業療法士の仕事は、プレッシャーが大きいです。
なぜなら、患者さんの社会復帰に直結する業務だから。
「適当な仕事はできない」というプレッシャーは、少しずつストレスとして蓄積されていきます。
ストレスは徐々に心身をむしばみ、「作業療法士が辛い…辞めたい」と思ってしまうのです。
プレッシャーの大きさはOTを追い込むので、「作業療法士はやめとけ」と言われる理由の1つになっています。
1-8.患者対応が辛いから
作業療法士はやめとけといわれる理由の8つ目は、患者対応が辛いからです。
正確にいえば「患者の相手が苦痛な人もいるから」ですね。
辛いと感じる理由には、いくつかパターンがあります。
- 患者さんとコミュニケーションをとることが辛い
- 社会復帰させても意味がないと思ってしまう
- 患者に触れたくない
筆者が聞いたところ、患者対応が辛いと思うのは上記3つが多かったです。
①は患者さんと話すこと、信頼関係を築くことが辛いということですね。
新人さんによく見られます。
②は、高齢者を社会復帰させても税金が無駄になるだけで生産性がないということです。
作業療法士としてのやりがいを感じられないということでしょう。
③は、潔癖気味で患者さんに触りたくないということですね。
言葉の通り、患者さんが汚れているから気持ち悪いということでした。
リハビリ職は、患者さんとの信頼関係が重要なので、コミュニケーションは必須です。
話したり触れたりすることが苦手な人には、作業療法士は向いていないでしょう。
1-9.人間関係が複雑だから
作業療法士は、人間関係が複雑すぎるので「やめとけ」といわれています。
OTは患者さんだけでなく、医師や看護師、患者さんのご家族など様々な人と関わる職種です。
その過程で人間関係のトラブルに発展することが多く、「やめておけばよかった…」と思うことがあります。
特に上下関係が強烈で、治療方針で部下が上司に提案するだけでも怒鳴られることがありました。
令和の時代に昭和感が残っているのがリハビリ職なので、「作業療法士はやめとけ」といわれています。
1-10.飽和しつつあるから
作業療法士は飽和しつつあるため、やめとけといわれています。
飽和しつつあるということは、OTが増えすぎているという意味です。
まずは下記の表をご覧ください。
厚生労働省が平成31年に公開した「理学療法士・作業療法士の需給推計について」から引用したものです。
日本理学療法士協会(2023年3月時点)によると、理学療法士の全体人数は136,357名でした。
「2019年度 日本作業療法士協会会員統計資料」によると、作業療法士は62,294名います。
ここから、年を越すごとに理学療法士と作業療法士の数が増えていくことがわかりますね。
下記の画像は、PTとOTの需要と供給を表したグラフです
理学療法士と作業療法士どちらも増え続けると、2040年には供給が需要の1.5倍になると見込まれています。
供給過多(飽和)になると、職場の数が足らない状況になりますよね。
そうなると、一部のPT/OTは資格があるのに働けなくなります。
このように、理学療法士と作業療法士は増え続けることで、競争がより激化していくため、作業療法士はやめとけといわれているのです。
1-11.技術革新で代替される恐れがあるから
作業療法士はやめとけと言われる理由の11個目が、技術革新の影響です。
ITの進化によって、人間の仕事が奪われることが数々の職種で予測されていますよね。
作業療法士も例外ではありません。
わかりやすい例が「AI(人工知能)」ですね
例えば、アニマ株式会社では、下記のような目的でリハビリ用のAIを開発しています。
リハビリテーションICTシステムにより収集する大量データ(リハビリ評価)をもとに、リハビリテーションAIシステムを駆使することでリハビリ効果・退院時期・などを予測し患者様への負担軽減、また経験に依らないエビデンスに基づいた質の高いリハビリ評価をご提案します。
つまり、これまで作業療法士が行ってきた業務をAIが代替するということです。
ちなみに、他の事例では、リハビリ用の下肢ロボットスーツによる歩行訓練も検討されています。
技術革新の影響で作業療法士の仕事が奪われる未来が近づいているため、「作業療法士はやめとけ」なんて言われているのです。
「作業療法士(OT)はやめとけ」に対する現役OTの見解を聞いてみた
本当に、作業療法士はヤバいのか、やめておいたほうがいいのか気になりますよね。
そこで、現役の作業療法士に「作業療法士はやめとけ」に対してどう思っているのか聞いてみました。
被っている意見もあったため、いくつかをピックアップしてご紹介します。
あくまでも現役作業療法士の意見ですので、参考にしてください!
「作業療法士はやめとけ」と言われているが、実際に働いていてどう思うか?
理学療法士も作業療法士もやめとけって言われているのは知っていました。実際になってみて、確かに給料や仕事量の多さでは、その通りだと思うところはある。だけどやりがいはあるし、PTとOTはやめとけっていう意見は、ネガティブな側面ばかり強調されている気がする。
転職して改善する部分も大きいと思う。訪問リハにいけば給料はあがるし、人間関係で悩んでいるなら転職すればいい。あと、理学療法士と作業療法士が飽和しているといっても、優秀なPTとOTは少ないわけだから、専門を持てば生き残れるはず。要は努力の問題。
「作業療法士はやめとけ」に対して、現役の作業療法士に聞いたところ、上記のような結果となりました。
2年目の新人OTさんが「努力の問題」と言い切ったのは驚きました
旧帝大出身なので頭は良い方ですが、そこまで考えて作業療法士になったのは素晴らしいですね。
将来に向けて、今のうちから対策を練っておくことが、「作業療法士はやめとけ」を乗り切る唯一の方法かと思います。
「作業療法士(OT)はやめとけ」はどう受け止めればいい?OTに将来性はある?
前章で、「作業療法士はやめとけと言われる理由」をご紹介しましたが、「ならない方がいい」とは思えません。
将来性は十分見込みがあるためです。
国が少子高齢化対策として、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの拡充にあたっていることが何よりの証拠でしょう。
国策である以上、作業療法士の需要がなくなることなんてありえません。
一方で、作業療法士の給料は頭打ちの可能性が高いので大きく稼ぐのは難しいと思ってください。
リハビリ職の給料は、冗談抜きで、国が決めた診療報酬制度によって決まるといっても過言ではないためです。
スタッフ数が増えても予算が変わることはないですし、高齢者率は増加の一方なので、給料が減ることはあっても増えることはないでしょう。
筆者の病院では、50代のスタッフでも年収400万円代がほとんどです。
結婚などで給料が増えないと困る人は、転職してよりよい待遇の職場で働くことをおすすめします。
「作業療法士(OT)はやめとけ」に逆らえ!将来も生き残るためにすべき対処法6選
せっかく作業療法士になったのに「やめとけ」を実感して後悔するなんて悔しいですよね。
そこで本章では、作業療法士が生き残る方法をまとめました。
- 認定作業療法士になる
- 協会の活動に積極的に参加する
- 知識・技術の改善を続けて専門スキルを磨く
- 作業療法士以外のスキルを身につける
- 副業を始めて収入源を複数持つ
- 転職する
作業療法士が将来も生き残るためには、収入を上げるだけでは足りません。
作業療法士としてスキルアップすることと、専門領域を持てるだけの経験を積むことが重要です。
具体的な方法は、作業療法士が生き残るためにすべき対策6選【飽和未来で求められるOT】でまとめています。
将来も作業療法士として生き残りたい方は、ぜひ参考にしてください。
今のうちから行動しておかないと手遅れになるかもしれません。
作業療法士(OT)はやめておいたほうがいい?向いている人の特徴
ここでは、どんな人が作業療法士に向いているのか解説します。
長く勤めている人、職場での評価が高い人の特徴をまとめました。
- 人に寄り添える人
- 人を助けることに生きがいを感じる人
- 給料に執着がない人
- 給料より安定を求める人
リハビリ職という職種が好きで、給料に執着していない人が向いています。
「老人をリハして復帰させても、何の意味があるの?」
我々現役世代からすると、このような考えも理解できますが、リハビリ職には向いていないでしょう。
「もっとお金が欲しい、早く上に行きたい」と出世意欲がある人は、職場を変えるか副業を始めるしかありません。
もし、「やめたい」「辛い」などと少しでも思っているなら、今がチャンスです
なぜなら、行動するのは早ければ早いほど良いから。
今の職場で時間を使えば使うほど、転職成功率は下がります。
また、作業療法士を1年目で辞めたい…やめたほうがいい理由を人事が解説でも解説していますが、1年目のOTであっても転職できるほど、作業療法士は転職に強いです。
今の職場に拘る必要がないんですよね。
時間をかければかけるほど、転職時のライバルも増えるでしょう。
やめたい…と思うのは、偶然ではなく必然なので、転職を真剣に検討することをおすすめします。
あなたの未来がかかっていますからね。
作業療法士(OT)はやめとけ!実際に転職する人は多いのか
前章で、作業療法士が給料を上げる方法は転職か副業というお話をしました。
とはいっても、具体的にどのくらいのOTが転職しているのか気になりますよね。
そこで本章では、筆者が勤務している回復期病院(200床)において、年間でどのくらいの作業療法士が転職しているのかご紹介します。
結論からいうと、作業療法士はそれぞれ4~5名ほどが毎年のように転職していました。
OTは30名ほどが勤務しているので割合にすると、13%~16%ということになります。
どちらも10人中1人は転職していることがわかります。
また、作業療法士の転職理由について多かったのは以下の3つです。
- 人間関係が辛い
- 給料が安い
- 休みがとれない
上記3つの理由で、作業療法士は転職する人が多かったですね。
当院の転職理由で一番多いは人間関係で、「上司とやっていけない」「同僚が無理」という人がほとんどでした。
性格に問題がある方が主任だったので、仕方ないと思います。
たしかに、転職することで人間関係をリセットしつつ、待遇も良くなるかもしれません。
しかし、転職にはデメリットもあります。
転職のデメリットとは、職場経歴がリセットされて、昇給・昇進しづらくなるということです。
転職すれば年収という面では今より良くなるかもしれません。
しかし、その後の昇給・昇進に関しては、長期間勤めている人に比べて不利になることが多いです。
転職を考えている方は、経歴がリセットされることを頭の片隅にいれておいてください。
とはいっても、終身雇用が崩壊した現代において、同じ会社に勤めるメリットは皆無なんですよね。
転職を繰り返し、どんどん年収をあげてキャリアアップする方が時代に合っています。
また、リハビリ職は昇給・昇進がほとんどない職種なので、給料を上げるなら転職が最適でしょう。
まとめ|作業療法士(OT)はやめとけと言われる理由
「作業療法士はやめとけ」というテーマでまとめました。
決して給料が高いとはいえず、昇給・昇進もほとんど見込めないのが現実です。
経験を積んでも責任と業務量が増えるだけでは、将来性を感じられないのも無理ないでしょう。
作業療法士が収入を増やすなら、転職か副業することをおすすめします。
転職市場価値は年齢とともに低下するので、今の職場に不満があったり、辛いなら早めに動いた方がいいですね。
今回は、以上です。