理学療法士(PT)と作業療法士(OT)の給料が安い理由はなんで?
PTとOTがもっとお金を稼ぐためにはどうすればいい?
このような悩みを解決します。
この記事を書いた私は、200床の回復期病院で人事や総務・企画などの業務をしていました
当サイトの記事は、未だに繋がりがある複数の現役PT/OT/STの声をもとに執筆しています。
現場の声が聴きたい方や、リハビリ職の最前線が知りたい方におすすめです。
また、マイナビニュース転職の監修実績もあるので、信頼性はご安心ください。
今回は、理学療法士(PT)と作業療法士(OT)の年収が低いという悲しい事実をお伝えします。
この記事を読むことで、PTとOTに将来性があるのか、給料を上げるにはどうすればよいのかがわかるでしょう。
理学療法士と作業療法士の給料が安い5つの理由
理学療法士(PT)と作業療法士(OT)の給料が安い理由は5つあります。
PTとOTの給料が安い原因は、上記の5つが考えられます。
残念ですが、給料が安いのは療法士さんの問題ではないのでどうにもできません。
国と医療機関側に問題があるのです。
それでは、給料が安い理由を詳しくみていきましょう。
診療報酬で額が決まっているから
医療行為には点数がつきますよね。
リハでは1単位20分で、疾患別に点数が割り振られていることはご存じの通りでしょう。
実は、これが給料の安さに直結しているのです。
例えば医師の場合は、切ったら〇点、縫ったら〇点というように、診療報酬によって処置ごとに点数が加算されていきます。
つまり、点数が高い処置を数多くすればするほど「収益UP=給料が上がる」ということです。
しかし、リハビリ職は処置数ではなく時間で計算される職業なので、どんなに頑張っても稼げる額は限られています。
医師が1時間で10000点の医療行為をしているときに、リハ職は3単位分(60分)の点数しか稼げません。
最高の療法士が処置をしようが、新卒1年目がおぼつかない手で処置しようが、点数は同じ(同額の収益)というわけです。
えーと、医師は時間当たりの収入に制限がないけど、リハ職は国によって上限が決められてるから技術に関係なく稼げないよってこと?
その通りです。どんなに良質なリハをしても、時間で縛られている以上は稼げません。
療法士が稼げる金額は決まっており、病院(施設)は療法士が稼いだ金額以上の給与を支払うことはできないので、給料は上がらないというわけです。
それこそ、診療報酬制度が改定され、20分で100000点など稼げる分野にならない限りは…(非現実的ですね)
病院に入る収益が少ない以上、療法士に支払える給料が安いのは無理もないといえるでしょう。
療法士が多すぎるから
理学療法士と作業療法士の人数が多すぎることが、給料が安い理由の1つに挙げられます。
注意すべきなのは、日本の医療費財源に対して多すぎるということでして、患者さんに対して多すぎるというわけではない点です。
「高齢者が増えてるから療法士の数は増やすけど、予算的に財源は減らさなきゃだから一人当たりの給料は下げるよ?」ということです。
やることが増えているのに給料は減るなんて、やってられないですね。
しかしこれが現実でして、少子高齢化に伴って、PTとOTの給料はますます安くなると考えられています。
経営上の問題
リハビリは救急や小児科と同じように、社会的な存在意義の大きな医療行為ですが、稼げないんです。
理由はすでに述べたとおり、診療報酬制度で稼げないようにできているから。
「収益はうみださないけど、世間体としてしなければならないからやる」というのが、病院としての本音だと思ってください。
医療機関の倒産が増えてる原因の1つはこれか!
2021年時点で国全体がこんな状態なのに、人件費をさらに増やすことなんて不可能です。
病院がつぶれないためにも、理学療法士と作業療法士の給料を安くするしか生き残る手はありません。
昇給・昇進がほとんどないから
理学療法士・作業療法士には、昇給も昇進もほとんどありません。
なぜなら、完全な年功序列で役職が大渋滞しているから。
また、すでにお伝えした通り、診療報酬で稼げる額が決まっているということは昇給もないということです。
給与の財源である病院の収益を、そもそも確保することができないなら、昇給させたくてもできないですよね。
繰り返しますが、診療報酬で稼げる額が時間で決められている以上、理学療法士と作業療法士の昇給・昇進は厳しいです。
夜勤ができないから
理学療法士・作業療法士は、看護師のように夜勤できません。
僕は人事なので社員の給料を知る機会がありますが、看護師なら夜勤だけで年収が100万円~150万円増えるレベルで稼げます。
役職や職場の状況によって差が大きくなっていますが、看護師が夜勤ばかり入ればこのくらいは稼げることが事実です。
しかし、PTとOTは夜勤制度なんてなく、残業も簡単にはできないようになっていますよね。
その結果、リハビリ職の給料は安くなっているのです。
PTとOTの給料は、個人の頑張りではどうにもできません。
「理学療法士と作業療法士はやめとけ」と一部で騒がれています。
「やめとけ」と言われる理由は給与だけではありません。
詳細は、下記の記事を参考にどうぞ。
理学療法士(PT)と作業療法士(OT)の平均年収は低いの?
下記の画像は、理学療法士(369万円)と作業療法士(359万円)、言語聴覚士(364万円)の平均年収(2024年3月確認時点)です。
2021年9月に国税庁が発表した「令和2年分 民間給与実態調査統計」によれば、現在の日本人の平均年収は約430万円なので、大きく下回っています。
理学療法士の平均年収
作業療法士の平均年収
言語聴覚士の平均年収
稼いでるイメージは世間的なものです。
実態とはかけ離れています。
PTとOTの給料が安い理由は上でお伝えした通りです。
人事の視点からいわせてもらうと、昇給・昇進がほとんどないせいで、一般職の平均年収との差が開いていると分析します(もっといえば国のせい)。
一般職で10年勤めれば課長クラスに昇進できるでしょうが、リハビリ職で10年勤務は平社員がほとんどですからね。
次の章では、理学療法士と作業療法士の給料を上げる方法を見ていきましょう。
理学療法士と作業療法士が給料を上げる方法3選
それでは、理学療法士と作業療法士が給料を増やすにはどうすればよいのでしょうか。
PTとOTが給料を上げる方法は3つしかありません。
転職する
理学療法士と作業療法士が給料に不満を持っているなら、早い段階から転職を視野に入れたほうがよいです。
なぜなら、少子高齢化の影響で医療従事者の待遇が良くなることは考えられないから。
私は人事の経験を積み、医療事務として診療報酬に関わったこともあるからいえます。
国が一度下げた報酬をもとに戻すことはありえませんし、病院側もリハ職の待遇を良くしようなんて考えていません。
ですので、今の職場を長く続けて昇給昇進を待つより、転職を繰り返して年収アップを狙うことが効率的です。
PT・OTを続けるということは、「給料が下がることはあっても上がることはない」ということを、頭に入れておいてください。
転職するなら、一般職への転職も視野にいれましょう。
なぜなら、一般職を経験しておけば、将来的な仕事の選択肢が増えるから。
理学療法士と作業療法士は医療系専門職であり、一般職がするような業務とはかけ離れていますよね。
そのため、一般職がするような電話対応や書類作成などができないのです。
一般職を短期でも経験すれば、リハビリ以外もOKな「できるPT・OT」として、人材価値が高まります。
また、PT・OTは専門職なので、「リハ職→リハ職」と「一般職→リハ職」というように転職しやすい点が強みです。
仮に転職失敗したとしても、復職は難しくないので安心してチャレンジできますよ。
将来に不安があったり、現状に不満があったりするなら強みを活かして行動するのもアリではないでしょうか?
出来高制の職場(訪問リハビリなど)に転職する
転職?しかも、いきなり一般職は不安…という方には、PT/OTを続けたまま、出来高制の職場に転職するという方法がおすすめです。
具体的には、訪問リハビリ(看護)やセラピストですね。
以下は株式会社リニエLからの求人抜粋ですが、給料は冗談抜きで高いです。
同じ業務に移動が加わるだけで、月給が10万円ほど変わる方もおおいのではないでしょうか。
今の職場に不満があったり、将来への不安があったりする方は、PT/OTを続けたままで出来高制の職場に転職することが低リスクでおすすめです。
求人を探すなら、リハビリ職に特化した転職エージェントを使いましょう。
なぜなら、特化しているだけあって優良な求人が豊富だからです。
サービスごとに独占案件も違うので、多く使えば使うほど有利に進められるでしょう。
副業する
給料は増やしたいけど、転職はちょっと・・・という方には副業がおすすめです。
2020年2月の新型コロナウイルスの影響もあって、副業を始める人が急激に増えました。
理学療法士と作業療法士でも、副業をすることはルール上可能です。
法人の規定があるので、そこは自分で確認しなければなりません。
転職は怖いけど、少額でいいから副収入がほしい人は、副業がおすすめ!
理学療法士と作業療法士の将来性は?このまま続けるとどうなる?
結論からいうと、理学療法士と作業療法士の将来性はあります。
なぜなら、高齢者率は2065年ごろまで上昇する見込みだからです。
PT/OTの将来性はありますが、ますます専門性が求められるようになります。
つまり、これまでのような「ただのPT、ただのOT」は必要なくなるものの、高い専門性やスキルを持ったリハビリ職なら将来も需要があるということです。
時代に適応した理学療法士・作業療法士を目指しましょう。
ちなみに、給料面や待遇面でよくなることは考えにくいです。
下記の画像は、厚生労働省と総務省統計局で公表されている基本情報をまとめたものになります。
高齢者はどんどん増えているのに、PT/OTの給料は10年以上横ばいです。
国は年々増え続ける医療費に頭を悩ませているので、PTとOTの待遇がよくなることは考えにくいでしょう。
財源は変わらないのに、高齢者数の増加とともにリハスタッフは増えているため、給料が減らされる心配をしたほうがよいかもしれません。
まとめ:理学療法士と作業療法士が給料を増やすなら転職がベスト
最後にまとめます。
理学療法士と作業療法士の給料が安い理由は、以下の5つでした。
PT/OTが給料を上げるための方法は、以下の3つ。
繰り返しますが、理学療法士と作業療法士の待遇が良くなることは考えにくいです。
なぜなら、国家予算や診療報酬、病院経営など、個人ではどうしようもない理由で給料が安くなっているから。
給料に不満があったり、将来が不安に感じるなら、早い段階で転職か副業することを強くおすすめします。
PT/OTが副業するなら、以下の記事をご活用ください。
空き時間や休日だけでできる、月5万円程度稼げる副業を紹介しています。
今回は以上です。